こんにちは、リアクト鈴木です。
一昨日散髪に行ったのですが、妻はもちろん娘たちも誰も気づいてくれません。
まあ、父親っちゃそんなもんですね。
さて、今週の日曜日、今年も無事福岡マラソンが開催されました!
僕は残念ながら落選したため今回は参加出来ませんでしたが、友人、知人の多くが参加し、そしてお客様のお一人もこの福岡マラソンに1つ照準を絞ってランニングフォームの改善、練習に取り組まれていました。
今回はその取り組み内容をご紹介したいと思います。
ふくらはぎの肉離れ?
最初のご相談は
「強めに走ると右のふくらはぎが肉離れのように張る」
ということでした。
元々サブ3で走れるエリートランナーであったお客様ですが、ちょっとした故障に悩まされていました。
身体的な特徴をチェックすると、ふくらはぎの発達が目立ちます。
筋力トレーニングの視点からすると一般的に鍛えたところが発達します。つまりふくらはぎが発達しているということはふくらはぎをトレーニングするような走り方をしている、ということが考えられます。
ふくらはぎの代表的なトレーニング、カーフレイズ Masterより
上の図のようにふくらはぎのトレーニングではつま先を蹴って踵を上げます。
実際走っているところをチェックしたところ、膝から下の動きが一番大きく、地面を蹴るようにして走っていました。
もちろんある程度走り込んでいる人はふくらはぎも発達していきます。
が、下肢全体のバランスを見たときに一番発達して欲しいところ、つまり一番使えて欲しいところはお尻周り=股関節です。
下肢で最も大きなトルク=パワーを発揮してくれる関節が股関節です。
以前の記事こちら👉階段登りはお尻を使いましょう。
またふくらはぎが大きく発達してしまうと足の回転数、いわゆる足運びは絶対的に遅くなります。
振り子の長さと重りの関係で考えると、振り子の長さが長くなると周期は長くなり、長さを短くすると周期は短くなります。
これを下肢の関係で考えると、ふくらはぎは下肢の遠い部分ですのでここが発達する=重くなると足の戻りが遅くなるという訳です。
動物界の長距離ランナープロングホーン。足先が細く、脚の付け根がしっかり発達した脚線美。
上半身との連動性。
ふくらはぎが発達する、足の先端に依存した走り方になる理由の1つに上半身との連動性に欠けていることがあります。
「走るんだから足だけちゃんと動けばいいじゃないか」と思わなくもないですが、走る動作は全身運動です。
背骨を中心とした上半身との連動性を獲得することで脚が動きます。
肩甲骨の動きが出ることで股関節が回ります。
ふくらはぎが大きく発達しているランナーの多くが上半身の動きが小さく、むしろ固めたように走っているケースが少なくありません。
一箇所に負担が集中するとやっぱり最後は耐えきれなくなり、痛みや肉離れのような症状として出てしまうのです。
土踏まずの痛みへと変化。
ふくらはぎに依存した走り方から股関節をしっかりと使える、上半身との連動が出来た走り方へ。
お客様のフォーム、ランニングメカニズムを毎回チェックしながら必要なコンディショニング、トレーニングを継続していくと、
「ふくらはぎの肉離れのような痛みはなくなったけど、今度は足裏が痛み出した」
という別の痛みに変化。
この痛みをどう捉えるかですが、僕は良い方に捉えました。
まず、股関節から地面を踏む感覚を高めるトレーニングを行い、足先で蹴る動作が少なくなったことでふくらはぎの負担が減り痛みがなくなったものと考えられます。
次に、新しく出た足裏の痛みですが、踏む、踏もうとする意識が強く出るあまり今度はつま先で地面を引っ掻くように押してしまっていたのです。
足裏の痛みで有名な障害に足底筋膜炎がありますが、これもオーバーユースで起こることが多いものです。
足裏で押し出す、ということはとても大切ですが、足裏全体で地面を押し出すというのがポイントです。
ここでつま先だけで押し出そうとすると今度は足裏の筋肉、足底筋膜に負担がかかってしまうということになります。
またここでのランニングフォームをチェックしてみると、今度は足の外側から地面に接地しているのが目立ちます。
普通接地した重心は母指球側から抜けるので、外側から強く接地するとその後のローディングで過回内、オーバープロネーションを引き起こしてしまいます。
オーバープロネーション図 epainAssist.com より
一般的にオーバープロネーションというと、接地時に土踏まずが強く潰れていることを言うことが多いようですが、外側から強く接地するとその後土踏まず側へ急激に体重が移動してしまうこととなりこれもオーバープロネーションを引き起こす一因となり得ます。
また、プロネーション自体は前への推進力を得るためにとても効率的な動作ですが、その倒れ方(捻り方)が強すぎる、角度がありすぎると足の構造が耐えられなく痛みを引きおこしてしまいます。
足のどこで接地しているか、は結果。
さて、「足の外側で強く接地してしまうなら足の付き方を変えればいいのか」となりそうですがそんな簡単な話でもありません。
表出している現象(外側から接地する)にアウトプット介入(足裏全体で接地するという指示)しても改善できないからです!
接地の仕方は身体全体の使い方の結果です。
それが出ている原因を突き詰めていく必要があります。
走るときにミッドフット着地かフォアフット着地かどちらが良いのかという議論がありますが、これもその人なりの走り方の表出の結果ですので、
「フォアフットが良いなら明日から着地の仕方を変えよう!」としたところで接地のタイミングで足先だけ動きを変えたに過ぎず、良いランニングエコノミーを獲得したとは到底ならないはずです。
トレーニングではお客様の接地の問題を解決するために、視線の誘導、適切な筋感覚の獲得、肩甲骨を含めた上肢の動きと下肢の連動性、胸郭の可動性の獲得などなど少しずつクリアしていくことを心掛けました。
シューズのサイズも大切。
今回はシューズのフィッティングをチェックするために足のサイズもきちんと計測し直しました。
するとお客様は本来適正なサイズより1〜1.5サイズ上のものをチョイスしていたことが判明。
シューズの大小で悩んだ時、人は往往にして
「当たって痛みが出たら嫌だから」
と大きいサイズをチョイスしがちです。
ただ大きいシューズはシューズの中で足が前に滑ってしまい、本来シューズが曲がるフレックスポイントから自分の足の付け根がズレてしまうことがあります。
このズレのせいで痛みが出ることもしばしば。
普段厚手の靴下を履く傾向がある人はシューズが大き過ぎることもありますので要注意です。(靴下の厚みでフィッティングを高めています。)
適正なサイズを確認した後、試着&相談を繰り返し納得のいくシューズを購入し直して頂きました。
大きなトラブルなくサブ3。
そして迎えた福岡マラソン本番。
「練習の絶対量が少なく後半失速しました」
とメールを頂きましたが、結果は見事余裕サブ3(しかも余裕を持って)の完走。
最初に悩まれていたふくらはぎ、そして続いて出ていた足裏の痛みはほとんど気にすることなく完走出来たとのことで僕としてもホッとしました。
走り方を見直し今までのフォーム、ランニングメカニズムを変えていくことはとても勇気の要ることですし、言ったそばから皆が出来るわけではありませんので、今回は本当にお客様の努力の賜物だと思います。
肉離れ&足底筋膜炎。
長くランニングを続ける人の中でふくらはぎの張り感や肉離れ、足底筋膜炎様の痛みに悩まされている方は少なくありません。
かくいう僕も昔(今も時々)ふくらはぎの痛みに悩まされました(^^;
今回のブログがそういった方々の一助になれば幸いです。
今後も当店でランニングで頑張っている方、これからランニングを始めたい方、しっかりサポートしていきたいと思います!
投稿者プロフィール
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理学療法士/ピラティスインストラクター/シューフィッター
総合病院〜整形外科クリニックで理学療法士として10年間勤務後、独立。
2017年10月より福岡市東区にパーソナルコンディショニング/トレーニング/ピラティスのジムをオープン。
身体の動きの質の改善をコンセプトに体の痛み、不調からボディメイクまでお客様のニーズにあったコンディショニングを提供している。
家では3姉妹の父親として奮闘中。
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