腰痛&腰痛予防に!効果的なエクササイズをご紹介。

前回痛み、特に慢性痛については患部の問題ではなく実は結構脳の問題が関係していることをお伝えしました。

今回は腰痛に対して安全に出来るエクササイズを中心にご紹介いたします。

エクササイズを通して体の使い方や耐久性、痛みの出ない動きを獲得していく過程で「この動きは痛くない」と脳が再学習していくことが重要です。

そもそもなぜ腰を痛めやすいのか。

身体の動きは3平面で捉えられます。
前後方向(矢状面)、横方向(前額面)、水平方向(水平面)の3つの面です。
腰椎の可動範囲、前後方向へは結構ありますが、水平方向には実はあまりありません。
一側への回旋可動域はわずか5°と言われています。

しかし一方で「腰で回す」と表現されるように体を捻る動きを腰中心で行うと思い込んでいる方は少なくありません。

人は思った通りに体を動かします。ボディーイメージは現実の体の機能を上回ります。
この誤った動きの捉え方により、本来回旋能力が低い腰椎に対して無理な負荷がかかり、骨や椎間板などの組織の破綻→侵害受容器からの刺激が増加→痛みの出現へ繋がります。

(回旋動作は胸椎=胸を軸に!)

また、特に腰椎は身体の中でも侵害受容器が多く存在するため、他の臓器と比べて痛みを感知しやすいです。

背骨と椎間板のウィークポイント。

背骨(椎体)と背骨の間にあるクッション材(椎間板)は縦には強いが横には弱い。

つまり垂直方向への負荷には強いですが、剪断力といって横方向への滑り負荷にはめっぽう弱いです。

ただでさえ回旋の動きが出にくい腰椎、さらに回旋で滑り負荷がかかると、、最後は破綻してしまうのは目に見えていますね(汗

また、複合的な動き(屈曲+回旋、屈曲+側屈+回旋など)になればなるほど椎体、椎間板への負荷量は増加します。

日常動作の中はともかく、運動中やトレーニング中に高負荷がかかった状態で複合動作となる場合は特に注意が必要です。

エクササイズ中はここに注意!

エクササイズ中は特に「お腹を凹めない」ということに気をつけましょう。

ドローインというお腹を凹ませて腹横筋の意識を高める呼吸法がありますが、腰部体幹の安定性を高める動きとしてはむしろマイナスな面が強いです。

腹横筋単独に意識を向けるのではなく、お腹周り全体(背骨からおへそまでぐるっと一周)を意識するよう心がけます。
腰部体幹の安定化には下の図Aのように吸気の際、腹部全周の筋肉の共同収縮、一緒に力が入ることが重要です。

この動き(ブレーシング)を意識的に行う方法として、両手を腰回りにあててその手を押し返す様に息を吸うというのが有効です。(*お腹の内圧が高まることですでに腰に痛みがある方は痛みが出る場合があります。その際は痛みが出ないところまでで止めるよう行ってください)

4つの基本エクササイズ。

1.ハーフロールアップ

1)膝を曲げ、手を腰の下へ。
2)腰の下の手を押しつぶすように息を吐きながら上体を肩甲骨まで持ち上げます。
3)息をしっかり吐き続け5秒間キープ。この時一番下の肋骨が浮き上がらないよう注意しましょう。
4)息を吸いながらゆっくり戻る。(5〜7セット繰り返します)

2.サイドプランク

1)横向きで肘と膝が直線上(もしくは少し膝が前)に来るようにポジションをセットします。
2)息を吐きながら上体〜膝までを上げます。この時体が真っ直ぐになるよう心がけます。
3)息をしっかり吐き続け5秒間キープ。
4)息を吸いながらゆっくり戻る。(片側5〜7セットを左右で)

3.ダイアゴナルリーチ

1)四つばいでポジションをセット。
2)息を吐きながら手足がクロスするよう(この場合右手と左足)真っ直ぐに伸ばします。
3)息を吐き続け5秒間キープ。この際腰が落ち込まないよう気をつけましょう。ここでも肋骨が下に開いていかないよう中に入れ込むようお腹の力をコントロールすることが大切です。
4)息を吸いながら元の四つばいへ戻る。(片側5セットを左右で)

4.デットバグ

1)仰向けから前ならえ+膝、股関節を90°に曲げてポジションをセットします。
2)息を吐きながら手足がクロスするよう(この場合左手と右足)真っ直ぐに伸ばしていきます。この際腰が反って浮いてきてしまわないよう注意してください。(腰が浮く場合は浮かない範囲で手足を伸ばします)
3)息を吐き続け5秒間キープ。やはり肋骨の浮き上がりに気をつけましょう。
4)息を吸いながらゆっくり戻る。(片側5セットを左右で)

これらがしっかり出来るようになれば腰回りの安定性が高まり、日常生活中でも痛みが出にくくなるでしょう。

エクササイズを行う時間帯としては、朝起きてすぐや長時間座った後は椎間板や脊柱の働きが弱まり腰を痛めやすいため避けるのがベターです。

まとめ

今回腰痛になりやすい原因と腰椎&腰痛予防に対しての効果的なエクササイズについてお伝えしました。

おさらいとして

・腰を軸に体を回さない(イメージを持たない)
・回旋を伴う複合的な動きに注意する
・お腹は凹ますのではなく膨らます(ブレーシング)
・エクササイズ中は腰が反らないように。

です。

最後に、腰痛予防には「使いすぎない」という視点も大切です。
度重なる運動や長時間の座位姿勢で「なんだか腰に疲れが溜まっているなあ」と感じた時はゆっくりと休息の時間を設けることもお忘れなく!

 

投稿者プロフィール

鈴木 豊人
鈴木 豊人REACT リアクト 代表
理学療法士/ピラティスインストラクター/シューフィッター
総合病院〜整形外科クリニックで理学療法士として10年間勤務後、独立。
2017年10月より福岡市東区にパーソナルコンディショニング/トレーニング/ピラティスのジムをオープン。
身体の動きの質の改善をコンセプトに体の痛み、不調からボディメイクまでお客様のニーズにあったコンディショニングを提供している。
家では3姉妹の父親として奮闘中。

腰痛&腰痛予防に!効果的なエクササイズをご紹介。」への2件のフィードバック

  1. 兼田尚士

    ヘルニアの人への改善、予防に対するトレーニングなどありますか?

  2. 鈴木 豊人 投稿者

    兼田様
    ご質問ありがとうございます。
    急性期は安静が基本となりますが、亜急性期からは徐々に呼吸時のブレーシングから始めていくのが安全で有効かと思います。
    ヘルニアの突出部位に応じて屈曲時痛や伸展時痛と痛みの出かたが異なりますので、まずは痛みの出ないポジションからはじめて下さい。
    そのポジションで痛みなく出来るようになれば、次は腰椎の前弯を抑えたニュートラルボジションで行い、その後は手をあげるなどして負荷を調整していきます。その後は少しずつ記載したエクササイズなど行いバリエーションを増やしてもらえたらと思います。
    ただ、腰椎椎間板ヘルニアに関しては「何故ヘルニアになるほど負荷がかかったのか」ということをみていく必要があります。
    信頼されるところにご相談されるか、当店のお近くにお越しの際は是非お立ち寄り頂ければと思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。