ピラティスは胸式呼吸なのか?

「ヨガは腹式呼吸でピラティスは胸式呼吸ですよね?」

この質問、本当によくされます。

かく言う僕も初めはそんな認識でしたが笑

一般的には腹式呼吸は横隔膜を意識してお腹を膨らませる呼吸方法、胸式呼吸は肋骨の拡がりを意識して胸を中心に膨らませる呼吸方法を指します。

ピラティスは「腹部体幹を鍛えるため」という名目?で胸式呼吸をと説明する専門書も多数ありますが、、
色々と知識を深めるほどに「そんな分け方でいいのかな」と考えるように。

今回は呼吸とはそもそもどのようなものかということから、普段の呼吸そしてピラティスを行う際の呼吸のポイントについてお伝えしたいと思います。

 

呼吸の働き。

呼吸とは人体にとって非常に重要な活動です。
食事や睡眠は少し取らなくても平気ですが言わずもがな呼吸はそうはいきません。

ヒトは呼吸をすることで細胞内でのガス交換を適宜行い生命を維持しています。

呼吸の面白い、そしてすごいところは自動的にも意識的にもできるというところです。
意思とは関係なく自動的にできることは生命維持のシステムとして重要なことは分かります。

では意識的にできるのはなぜか?
例えば運動時にガス交換を急ぎ行い酸素を体内に多く取りこみたい時に意識的にゼーハーなりますよね。
また、身に危険が迫っているような場合に呼吸を早くすることで心拍数を上げ交感神経を優位にする、反対に深呼吸を繰り返す事で気持ちをゆっくり落ち着かせるという場合にも使われます。

呼吸ってどんな動き?

普段意識しなくても出来るだけに呼吸ってどんな動きか実はよく分からない方もいるかと。
確認しましょう。

呼吸は”息を吸う吸気”と”息を吐く呼気”とに分けられます。
健常な人の安静時呼吸の場合、吸気は70〜75%が横隔膜、残りを外肋間筋などが行なっています。
呼気は膨らんだ肺や肺胞が表面張力などで縮む働きを利用してほとんど自動で行なっています。

これが安静時でない場合(先ほどの運動時のようなケース、努力性と言います)では、吸気時に首、肩の筋肉を使ったり呼気時に腹筋の筋肉たちを使ったりして呼吸回数を増やします。

”吸気の7割ほどが横隔膜の働き”

というのがとても重要です。

裏返すと横隔膜という筋肉がうまく使えていない人は、本来はサブ要素だった首や肩の筋肉をメインで使うようになったり、背中を毎回反るような動きを行い吸気を補おうとしたりします。

横隔膜はどこに?

人は思った通りにしか動けません。
いつぞやお伝えしたように体の機能よりボディーイメージが先行します。

息を吸うときにとても大切な横隔膜も同様です。

皆さんはどこで呼吸をしているでしょうか?
横隔膜はどこら辺に付いていて、息を吸ったときにどこまで下がるでしょうか?

本来持っている機能も認識がズレていると上手く機能しませんのでご注意を。

横隔膜は図のようにドーム状の形で上が胸骨の下辺りから始まり、下は腰椎まで付いています。しかも左右で大きさが違います。

これが吸気時に収縮し、付着している腰椎肋骨方向へ引き下がることで胸腔を陰圧にし肺に空気が入ってくるという仕組みです。

腹式呼吸か胸式呼吸か。

そもそも論ではありませんが笑、息を吸う際に必ず横隔膜は動くし、外肋間筋も動き肋骨は全体的に拡がります。
つまり呼吸は全て腹式でもあり胸式でもあるとも言えます。

ただ、上述したように横隔膜の働きが不十分だと色々な問題が生じてしまいます。

普段の呼吸、そしてピラティスの際に最も意識したいのは”横隔膜をドーム状に使う”という事です。

上の右図のようにドームがうまく形成されないと腹部にはしっかり圧がかけられません。
つまり体幹が安定しません。

しっかりとドームを形成するために吸気時は下部肋骨の前方向への拡がりを抑え、横方向・背中への拡がりを意識しましょう!

ドローインかブレーシングか。

前回少しだけ触れましたが、腰部体幹の安定性を高めるためには腹部を凹ませるよう息を吸うドローインは不向きです。

ちなみにこのようなプランクエクササイズでドローインすると腰をめちゃ痛めますのでご注意を。

日常生活、動作の中で安定して使うためにはお腹周り全体を共同収縮させるブレーシングを意識しましょう。

ただ、安定性より動きの速さを優先したい場合や体幹の回旋をより意識的に行いたい場合はドローインの方が有効だったりしますので、目的に応じて使い分けが出来るのが理想です。

 

 

鼻から吸うことの大切さ。

ごく基本的な事ですが息を吸う際は鼻からがマストです!

鼻から吸う事で
・フィルタリングされた綺麗な空気を取り込むことができる。
・冷たく乾燥した空気を適度な温度、湿度に変えて取り込むことができる。
・口から吸うより深く空気を肺に送り込むことができる。

とメリット盛り沢山です。

口呼吸になるとこれが全てなくなるだけでなく、フィルターがないことで感染を起こしやすい、冷たく乾燥した空気で喉を痛めやすい、唾液の分泌量が減る(やっぱり感染などに繋がります)、呼吸が浅くなる、などなど。

デメリット大です笑

鼻呼吸も普段から是非意識してくださいね!

まとめ

今回は呼吸について、横隔膜の重要性と呼吸の際に気をつけるポイントをお伝え致しました。

・吸気の7割は横隔膜の働き。
・横隔膜が働かないと肩や首の筋肉で代償してしまう。
・横隔膜をドーム状に使えるように肋骨下部の前への拡がりを抑える。
・体幹の安定性にはブレーシングを。
・鼻呼吸が基本

年末年始、イベントごとも多く疲労がたまりがちかと思います。
体調を崩さないためにも普段の呼吸がとても大切ですので、何か上で引っかかるところがあった方は是非取り入れてみて下さい。

最後までお読み頂きありがとうございました。
毎回試行錯誤しながら書いているこのブログ笑

「読んでます!」「長いですよね!」

といった皆様の温かいお言葉(時に厳しいお言葉w)に支えられ継続してくることができました。

来年は皆様により分かりやすく体や健康についての情報をお伝えできるよう精進して行きたいと思います。

 

投稿者プロフィール

鈴木 豊人
鈴木 豊人REACT リアクト 代表
理学療法士/ピラティスインストラクター/シューフィッター
総合病院〜整形外科クリニックで理学療法士として10年間勤務後、独立。
2017年10月より福岡市東区にパーソナルコンディショニング/トレーニング/ピラティスのジムをオープン。
身体の動きの質の改善をコンセプトに体の痛み、不調からボディメイクまでお客様のニーズにあったコンディショニングを提供している。
家では3姉妹の父親として奮闘中。

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